飼育水と同じ温度の水をつくる

「熱量」をはかる単位として、ふつう使われているのは「カロリー」という単位です。
1カロリーとは「1gの水を温度1℃だけ上昇させるのに必要な熱量」のことです。
熱量は次の式で求めることができます。
「熱量」=「水の質量(g)」×「上昇した温度」
10℃の水200gを熱して14℃になったとき
200g×4℃=800cal
となります。

ひと雨ごとに冬が近づいてきて、水道水の温度も低くなってきました。
熱帯魚の水槽管理でもっとも重要な管理のひとつ、水かえ。
古い水を捨てて、新しい水を入れるわけですが、新しく用意する水は、飼育水の温度と同じ温度のものを作ってあげなければなりません。
バケツに冷たい水道水とお湯を混ぜて、希望の温度の水をつくる!
この作業が大事なわけです。誰しもが貯水水槽を持ち、そこにヒーターやろ過を入れるわけではないので、今日はバケツに水とお湯を混合することを考えてみましょう。

★ 熱のやりとり★
得た熱量=失った熱量

数学や化学のようになってきましたが、難しいことは何もありません。
例  95℃の湯100gと15℃の水300gとを混合したとき、全体の温度は何℃になりますか?
100×(95-X)=300×(X-15)これが式となります。
9500-100X=300X-4500
-400X=-14000
X=35
と展開して35℃のぬるま湯が出来上がることになります。

小さいころから熱帯魚を飼育してきた私は経験から、真冬の水の用意について、次のようなイメージをもっています。
外で遊んで帰ってきて、手を洗う。あー、あったかいなーと思うくらいの湯沸かし器からでる湯、これを半分と、水道水を半分。
ここに中和剤や水質調整剤を入れていくわけです。
数字で見てみましょう。
外出から戻って冷えた手を洗うお湯、あったかいなーというものを40℃とします。
東京の蛇口をひねって出てくる真冬の水道水が15℃くらいでしょうか。
たとえば、これを10リットルのバケツに5リットルずつ半々に混ぜていくとします。
5×(40-X)=5×(X-15)
200-5X=5X-75
-10X=-275
X=27.5
はい、27.5℃、一般的な熱帯魚を飼育するのに良いレンジであることを示しています。

注意すべきポイント
必ず同じ温度の水を作ること。同じくらい・・は意味がありません。
1℃くらい・・と考えてはいけません。人間だって体温が1度、2度違ったら、具合が悪いのと同じことです。
水槽に、冷たい水やあたたかいお湯を注ぐことは水槽破損の原因となるだけでなく、
目に見えない微生物にも影響を及ぼします。もし微生物が死んでしまえば、水槽環境は崩れ、死んだ微生物が水槽内を浮遊し、水をとりかえたのに白く濁る、などといったことの原因となります。飼育水と新水のpH値にひらきがあり過ぎてもいけません。
いつも生き物たちに同じ環境を提供してあげられるように、チェックしてあげてください。