店長日記

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2012年04月06日

東京下町でもやっと桜が咲き始めました。
先日の爆弾低気圧による強風に耐え、よくぞ・・という気持ちです。

日本人にとって,現在最もなじみの深いサクラといえば,‘染井吉野’(ソメイヨシノ)であろう。‘染井吉野’は,ともに野生種であるエドヒガンとオオシマザクラの間にできた種間雑種に分類される栽培品種である。江戸時代後期に,江戸染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木屋がこれを「吉野桜」と称して売り出し,明治時代には全国に広まった。

現在では,日本全国の公園や土手などに植えられているばかりでなく,海外でも数多く植栽されており,染井吉野は日本を代表するサクラとなっている。

■クローン植物 ‘染井吉野’
こうして無数に数をふやした‘染井吉野’は,種子から育てたのではなく,すべて接ぎ木などによってふやしたものである。すなわち,すべての‘染井吉野’は,たった1個体を原木とするクローン(遺伝子の組成が完全に等しい個体)なのである。

サクラの仲間は一般的に,同一の個体の中で咲く複数の花どうしでは受精がおきない。これを「自家不和合性」というが,‘染井吉野’はすべて同じクローンであるため,‘染井吉野’どうしでは受精がおきず,したがって実を結ぶこともない。

ただし,‘染井吉野’以外のサクラとの間で交配することはあり,そのときには実をつけ種子をつくることができる。しかし,その種子から成長してくるサクラは,遺伝子の組成が‘染井吉野’とはことなっているため,もはやこのサクラを‘染井吉野’とよぶことはできない。つまり,“‘染井吉野’のたね”というものは,この世に存在しないのである。

■60年寿命説に根拠はあるか
‘染井吉野’は同じクローンであるため,個体間で遺伝的な性質に差が生じない。そのため,何らかの環境変化が原因で,一か所にあるたくさんの‘染井吉野’の樹が次第に枯れてしまうことがある。そのせいか,「‘染井吉野’の寿命は短く,60年ほどしかない」という俗説が広まっている。しかし,サクラなどの樹木を研究する森林総合研究所多摩森林科学園の勝木俊雄研究員によれば,この説は科学的に根拠があるものではないという。

「実際に,100年以上生きている‘染井吉野’も多く存在します。一般的に樹木には寿命というものはなく,枯れるまでの年齢はあくまでも環境と管理次第なのです」(勝木研究員)。

※野生種でなく栽培品種であることを示すため,この記事ではソメイヨシノを‘染井吉野’と表記しています。


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