カタツムリ左巻き存在の謎解明

カタツムリ左巻き存在の謎解明 天敵ヘビが進化手助け

もともと殻が右巻きだったカタツムリで左巻きに進化した種が存在するのは、カタツムリを餌とするヘビが手助けしたとみられることが、東北大大学院生命科学研究科の細将貴研究員(進化生物学)らのグループの研究で分かった。
カタツムリの体は殻の巻き方が異なると、交尾しにくい構造。通常、突然変異の左巻きが子孫を残せる可能性は低いが、天敵の被害に遭いにくいという利点が交尾の難点を補う形で進化につながったという。

カタツムリは数多くの種が存在するが、左巻きは少ない。右巻きを保ったまま多様化してきたと考えられ、少数派の左巻きの進化は謎だった。
 
細研究員らは2007年、カタツムリを食べるセダカヘビの口の構造と捕食行動を調査。セダカヘビは右側に多くの歯を持ち、左巻きよりも右巻きのカタツムリの方を効率よく殻から中身を引き出して食べていることを突き止めた。

調査結果に基づき、左巻きのカタツムリはセダカヘビに襲われても生き残る可能性が高く、進化が促されたと予測。ほぼすべての種のカタツムリの分布と大きさを調べ、左巻きの属の割合を検証した。

セダカヘビが生息する東南アジアなどでは、殻が2センチを超える57属のうち約20%が左巻きだった。一方、セダカヘビが生息しない北米などでは、殻が2センチ以上の141属のうち左巻きは約1%にとどまり、仮説が裏付けられた。
 
日本周辺でも沖縄県の石垣島や西表島、台湾など、左巻きが多い地域とセダカヘビの生息域はほぼ一致。系統を解析したところ、右巻きから何度も分化して進化していることも判明した。
 
細研究員は「天敵の存在が種を分化させるという、生き物の進化を考える上で興味深い結果となった。セダカヘビがいなくても左巻きが確認された地域もある。今後、セダカヘビが生息した時期と左巻きの分布も調べる必要がある」と話している。研究成果は8日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズの電子版で発表した。