アンモナイトの餌が判明

デボン紀初期の4億年前から白亜紀末の6550万年前まで、海で多様な種が繁栄したアンモナイト類は、微小な甲殻類などの動物プランクトンを餌にしていたことが分かった。フランス国立自然史博物館などの仏米研究チームが化石を強力なシンクロトロン放射光を利用したX線CT(コンピューター断層撮影装置)で初めて解析し、7日付の米科学誌サイエンスに発表した。

アンモナイトはイカやタコと同じ頭足類。巻き貝に似た種が多いが、研究チームは米サウスダコタ州の白亜紀後期の地層から見つかった長い棒状の貝殻を持つ種の化石を解析した。その結果、歯と舌に相当する歯舌(しぜつ)と呼ばれる部分に、微小な甲殻類が食べかけの状態で挟まっていることが判明した。

アンモナイトは恐竜などと一緒に白亜紀末に絶滅した。小惑星が地球に衝突し、舞い上がった粉じんが空を覆い、植物や植物プランクトンが光合成をできなくなって、動物が餌を失ったと考えられている。

研究チームは、アンモナイトが海中を浮遊する動物プランクトンを餌にしていたため、絶滅したと推定。一方、同じ頭足類のオウムガイは海底で死んだ魚介類を餌にしていたため、生き残ったという。

棚部一成東京大教授(進化古生物学)は「アンモナイトの餌が見つかったのは初めて。アンモナイトの卵はオウムガイに比べてはるかに小さく、卵からかえった幼体は1ミリ前後の大きさ。動物プランクトンしか食べられなかったため、白亜紀末に絶滅したのではないか」と話している。