熱帯魚の繁殖の楽しみ

熱帯魚は、見る楽しみ、育てる楽しみ、集める楽しみ、水槽を作り上げる楽しみと並んで、殖やす楽しみがあります。簡単にふやすことができる種もありますし、興味深い繁殖行動をみせる種、繁殖形態に多くの謎がある難しい種もいます。新しい命の誕生は感動の連続です。ぜひ挑戦してみましょう。
養殖が盛んに行われる種や改良品種が多い種というのは、繁殖力が旺盛なことを示します。飼育している魚が成長し繁殖に至るということは、それまでの飼育環境が良かったことのあらわれです。産卵の様子や稚魚が泳ぎ始める光景は、それまでの苦労を忘れるくらいドラマティックなものです。
繁殖入門魚を挙げますと、グッピー、プラティ、モーリーなど稚魚を産むメダカの仲間、そしてアカヒレ、ゼブラダニオなどのコイの仲間、エンゼルフィッシュなどの卵生魚、最近ではシュリンプの仲間の繁殖もブームです。殖えすぎてしまって困る!というケースも少なくありません。

繁殖を狙う場合、まず大切なのは優秀な親、オスとメスを得ることです。魚の成長した美しい姿や繁殖方法を知り、若魚を入手し、育て、親にすると感動もひとしおです。
繁殖は専用水槽で行うのが理想です。魚種によっては育成環境と繁殖環境が異なるほうが良い結果を得られることもありますし、親に食べられてしまうケースもあるからです。
繁殖期の魚はその生涯のなかでもっとも美しい姿となります。繁殖の準備はまず設備、そして飼育者の観察と適切な処置がポイントです。目の細かいネット、隔離用産卵箱、スポイト、初期飼料、仕切り板、稚魚が吸い込まれない構造のろ過など小物も必要になってきます。卵をバラまいて産みっぱなしの魚もいれば健気に卵の世話や子育てをする魚、口の中で稚魚を保育する魚もいます。
まずは親の飼い方をマスターし、親を仕上げるところがスタートになります。