名勝負

認め合う存在がぶつかり合うとき、技量は臨界点を超える。
26歳の清原と24歳の伊良部の力と力の勝負。
「抑えてやる」「打ったる」。2つの闘志がデジタルの数字をも動かした。

8回の3球目。スコアボードの球速は158キロを示した。当時の最高記録。
しかも、清原はそれをファウルにした。興奮がスタンドを支配した。
そして勝負の6球目。これも157キロを記録。
打球は右中間に飛び、清原は二塁に仁王立ちした。

「清原さんだから、力以上のものが出た」と伊良部。
「怖いほど速かった」と清原はうなった。
伊良部は97年からヤンキースでプレーしたが、158キロから10年後の2003年に、阪神で日本復帰。
伝統の一戦で対決がまた実現。スピードは出なくても、真っ向勝負の姿勢は変わらなかった・・。