光合成

小学6年生になった気分でお読みください。

動物は餌を食べて暮らしています。熱帯魚も例外ではありません。
じっとしていては餌はつかまりませんから、餌を捕えるのにたいへん苦労しています。
餌を捕えてしまえば、あとは口から食べて消化してしまえばよいのです。
ライオンはシマウマを食べシマウマは草をたくさん食べて生きています。
肉食動物が、よく見るとサバンナの草によって養われている!といわれるのはこのようなポイントがあるからです。
多くの動物が植物を食べて生きていることがわかったところで、
では植物はどのようにして生きているのでしょうか?

今から2000年ほど前、ギリシャのアリストテレスは、
「植物の根は動物の口と同じで、根で土から生きていくのに必要な物質や、からだをつくるのに必要な物質をとっている」と言っています。
この考えは17世紀ごろまで人々のあいだで信じられていたようです。

400年ほど前、オランダのファン・ヘルモントはこのアリストテレスの考えに疑問を持ち、自ら次のような実験をしました。
大きな鉢に90kgの土を入れ、2kgのヤナギを植え、これを5年間、水だけを与えて育てました。
5年後、ヤナギは大きくなり76kgにもなりました。
しかし、ヤナギを植えていた土のほうは、5年間でわずか56グラムしか減っていませんでした。

ファン・ヘルモントはヤナギに水だけしか与えませんでしたが、ヤナギを植えた鉢は日光のよく当たるところに置いていました。
さて、植物の生えているところにタライをかぶせて1週間から10日間、そのままにしておくと、植物の葉はもちろんのこと、茎も根も枯れ果ててしまいます。
このことは、植物が生きていくためには光が必要であることを示しています。

動物は餌を食べなくては生きていけませんが、植物は餌を食べなくても生きていくことができます。
植物は生きていくのに必要な栄養分を自分で作ることができるのです。
栄養分が作られているところは緑色のところです。特に葉は栄養分をたくさん作っているところなのです。
この働きには絶対に光が必要なので、この働きのことを「光合成」といいます。
科学者たちの研究によって、
光を受けた植物は、水と二酸化炭素からでんぷんと酸素をつくる
ということがわかっています。
植物の葉に光が当たると、根から吸収した水と空気中の二酸化炭素を原料にして、でんぷんと酸素をつくるのです。
植物はこのでんぷんをもとにして、さらに生きていくのに必要な物質をつくっていきます。

と・・ここまで、地上で生活する植物のことをふまえて、アクアリウムに目を向けていきましょう。
光とは照明器具のことを指します。部屋の照明や、窓から入る太陽の光では水草を育てることは困難です。
照明器具は昼と夜とを作り出す役割とともに水草を育てる役割を持っています。1日8時間を目安に規則的に照明しましょう。
蛍光ランプは半年ほどで交換すると良いでしょう。年末に交換すると明るい新年が迎えられますね。

水の透明度はどうでしょうか?ろ過の良く効いた透明な水であれば光線は水草によく届きますが、
不純物の多い濁った水や、コケの発生している水、水をとりかえていない古い飼育水は光線を妨げてしまいます。明るい照明に透明な水でこそ、水面はきらめき、水草たちは生活していくことができるのです。

地上で生活する植物は大気中の二酸化炭素を利用できますが、水槽という限られた空間に水を張った状態では、水中の二酸化炭素は水槽の外へ逃げていってしまいます。
二酸化炭素のボンベを使って水槽内に二酸化炭素を供給するのはこのためです。

栄養分はどうでしょうか?
水道水は人間用に作られているため、水草が生きていくのに必要な栄養分は不十分です。
井戸水は硬度が高いケースが多く、やはり水草は生活しにくいです。
液体の肥料を水槽内に添加したり、固形の肥料を底床内に仕込むのはこのためです。

地上で生活する植物からみると大気は常に入れ替わっていますが、
水槽という限られた空間に入れられた水は古くなっていきます。
水を交換することは魚たちだけでなく、水草たちにとってもきわめて重要な作業となるわけです。