アフリカ湖産シクリッドを飼育しよう!
青い魚がほしい!
シンプルなレイアウトもいいな!
いままで小さくてかわいい魚を
飼ってたけどシクリッドもカワイイかも!
マウスブリーダーの繁殖に挑戦したい!
ブルーのライトでおしゃれに飾りたい!
そんな要求に直球でこたえてくれるレイクシクリッドたち。今日はアフリカの湖に生活する魅力的なシクリッドたちについて考えてみましょう。
シクリッドの仲間は全体で1300種を超すといわれており、このうち700~800種がアフリカ大陸に、300~500種が中米、南米に分布します。
大地溝帯に水を湛えるマラウィ湖、タンガニイカ湖、ヴィクトリア湖などには、海水魚のように色鮮やかなシクリッドたちが生息しています。湖で長い間、他の魚と混ざることなく隔離されて分化したため、色彩、習性、繁殖形態などが独特の方法、性質が見られ、たいへん興味深いのです。
マラウィ湖で100~200万年、タンガニイカ湖で約200万年、ヴィクトリア湖は50万年前にシクリッドが入ったとされています。生物の進化学からすればまだまだ若い湖でありますが、私たちを楽しませてくれる新しい仲間たちが次々と紹介されるように、爆発的な分化、繁栄が見られたのです。
■飼育環境
マラウィ湖を見てみましょう。長さ約590km、最大幅86km、深度は最深部700m、湖全体の面積はおよそ3万平方km。日本からみたら海のような規模であります。小さい水槽も人気ですが、できる限り大きな水槽を用意してあげたいです。深さも必要ですね。魚がある程度の大きさになったら、90cm水槽や120cm水槽が基本となります。たたき池でアーリーの飼育繁殖をしている方にお話を伺ったときには、贅沢だけど、横からも見たいと言っておられました。水量は多いにこしたことはありません。
透明度40m!フィルター選びが重要です。ワンランク上のものを用意するキーパーも多いです。上部式と外部式の併用も、シクリッド飼育では一般的です。水かえも重要で、透明度を維持するには飼育水が透明のうちに早め早めの水かえを実施することです。
水温23.5~27.5℃(年間平均水温25℃)。冬場はヒーターで保温、夏場は冷却ファンやクーラーを使用します。
pH7.7~8.6。KH6~9。GH4~6。pHをアルカリにキープするため、サンゴ砂やサンゴ岩、pHが下がりにくくなる機能をもつろ過材の使用が一般的です。中性の水から水槽セッティングをする場合、サンゴ砂を使うと、使うサンゴ砂の量にもよりますが、pH7.5~8.3、GH8~10、KH4~6の水が得られます。pH上昇剤などをうまく用いて、生活環境を整えてあげたいところです。
注目は8、9というKHと比較して異常にpH値が高いということです。海水を見ると、GH11、KH14、pH8.4であり、海水よりKHが低いのにpHは海水並みであることがわかります。マラウィ湖には、酸化傾向を示す有機性の汚れがきわめて少ないことを示しています。付近の地盤が石灰岩で構成されていて、溶け込む石灰の影響でKHは高めですが、GHは日本の河川とあまり差がありません。水温調整をした水道水にpH/KH上昇剤を入れ、水かえ用とする方法もおすすめであります。
水は見た目キレイでも水かえをします。魚たちが生活し、エサを与える、魚たちは排泄をする。排泄物は硝酸塩へ分解されていく。ここにサンゴ砂やサンゴ岩があれば、これらの成分である炭酸カルシウムと硝酸が反応して硝酸イオンとカルシウムイオンになります。これは、水かえの日まで蓄積されることになります。マラウィ湖の水には、硝酸イオンはほとんど存在しないため、水かえはきわめて重要な管理といえます。
エサの非常に少ない湖で、食性も特化しています。なんでも美味しそうに食べてくれますが、与えすぎにも注意が必要です。シクリッドたちは人によく慣れ、水槽の前に飼育者が立ったり、エサの容器を見せたり、エサを収納しているキャビネットや冷凍庫の扉が開くだけで、ザワザワと集まってきます。ついついエサをやってしまい、与えすぎという状態になりやすいのです。かわいがりすぎには注意しましょう。
タンガニイカ湖も見てみましょう。長径700km、最大幅80km、世界第二位の水深1480m。透明度20m以上、水温は表層で24~29℃、pH8.6~8.8.KH16~18、GH7~11。湖岸に広がる石灰岩が湖に直接露出しているため、数値は高めです。
■ムブナの仲間
ムブナとは現地の言葉で「岩場に棲む魚」という意味です。日本へは東南アジアで養殖されたゴールデンゼブラやイエローストライプなどが輸入されてきています。現地では、石灰岩に生える苔や苔につく無脊椎動物などをいっしょに食べているようです。彼らの口は歯の形が特化していて、水槽の手入れのときなどはつつかれることもあり、その口は苔を食べやすい構造であることが実感できます。性質は非常に荒く、温和なタンクメイトとの混泳は不可であります。幼魚のうちは目立ちませんが成長に従って同種同士でも争うことが多いです。水槽に多くの岩やシェルターをレイアウトしたり、わざと数多くの個体を収容したり、オス1匹に対しメス4~5匹という組み合わせにしたりするのはこのためです。マウスブリーダーであり、オスはメスのまわりで体を小刻みに震わせたり、ヒレを広げてアピールします。オレ、こんなにカッコイイんだぜ!とディスプレイ、デモンストレーションするオスは最高に美しいです。メスは、岩の上や掘った底砂の上などに一時的に産卵し、口にくわえます。卵は20~30個ほど。稚魚は2~3週間で口から出てきます。その間、親は食べずに育児をするわけです、ぜひ観察してほしい光景です。
■マラウィ湖の仲間
衝撃のメタリックブルー、かっこいいフォルム、興味深い繁殖が魅力の仲間であります。
エサはしっかり与えるわけですが、与えすぎのエサの量をしっかりと見きわめたいです。冷凍赤虫、ペレット、フレーク、エビなどなんでもよく食べますが、植物質のものを混ぜて与えたいところです。
産卵は雌雄が円を描くようにくるくると回転しながら行われます。産卵、放精、受精と進み、受精卵はメスが直ちにくわえます。一回の産卵数は20~60個ほど。稚魚が自由遊泳を始めるまでの3週間は絶食して卵、稚魚の世話をします。稚魚にはふ化したてのブラインシュリンプを与えましょう。
■タンガニイカ湖の仲間
マラウィ湖産シクリッドと同様にアルカリ性の水作りをしていくわけでありますが、pH、KH、GHなどの水質データはマラウィ湖よりも高めであります。そこで上質の人工海水を入れた水作りを紹介します。標準的な人工海水よりも、成長に必要な微量元素を適度に含んだムセキツイ用の人工海水を使用します。タンガニイカ湖産シクリッドは、マラウィ湖産シクリッド以上にミネラルや塩類に強いので、うまくキープすることができるでしょう。人工海水は、規定量の1/10から1/15の量を溶解させます。いつも同じ濃度にしてあげたいので、最初に入れた分量をメモし、1/3の水を捨てたならば、新水には最初の1/3の量の人工海水を入れてあげるわけです。
もちろん、サンゴ砂、サンゴ岩、珪砂、カキ殻、pH/KH上昇剤などを上手に使っていただくのも良いです。精製前の原塩は生体のミネラルバランスを整えるので有効であります。
大型になる品種に与えるエサに関しては、マラウィ湖産同様、繊維や植物質を含むものを補助とするだけでなく、大きな体を支えるのに必要な粗タンパク質、各種ビタミン、カルシウムなどを含んだ良質のエサも用意してあげたいところです。
■ヴィクトリア湖の仲間
基本的な飼育方法はマラウィ湖、タンガニイカ湖のものと同様でよいでしょう。
色彩豊かなハプロクロミスは、ヴィクトリア湖産のマウスブリーダーにだけ、使われる名前であります。ヴィクトリア湖では、ナイルパーチの移植により固有種が減少しているといわれていて、その存在はたいへん貴重です。コンディションの良い個体に出会ったらすぐ購入できるように受け入れ態勢を整え、ショップを回る熱いファンも多いんですよ。
(鉄則1)水かえをしよう。
見た目の水は透明でも、レイクシクリッドたちは新しい水が大好きです。水かえの量、回数、タイミングは良好なスタンスを探ってほしいです。
生きた魚の畏敬に満ちた美しさは常に愛すべきで、管理者がその個々の具体的なものを奥深くきわめればきわめるほど、その美はますます深まってゆくものです。
(鉄則2)リザーブタンクを用意しておこう。
テリトリー(縄張り)争いが起こり、強弱が決してしまった場合や、弱い立場になった個体は隔離して回復させてあげたいのです。一緒に生活している場合、立場が逆転することは稀で、実力や体格の差は開く一方であります。予備水槽の設備は一式そろえておきたいところです。
(鉄則3)水質マスターになろう。
アルカリ性の水槽で、常に注意しなければならないのが、アンモニア、アンモニウムイオン、亜硝酸であります。これに加えて、pH、KH、GHは最低限必要です。油断禁物、手遅れになってからの測定では、処置が遅れます。
シンプルなレイアウトもいいな!
いままで小さくてかわいい魚を
飼ってたけどシクリッドもカワイイかも!
マウスブリーダーの繁殖に挑戦したい!
ブルーのライトでおしゃれに飾りたい!
そんな要求に直球でこたえてくれるレイクシクリッドたち。今日はアフリカの湖に生活する魅力的なシクリッドたちについて考えてみましょう。
シクリッドの仲間は全体で1300種を超すといわれており、このうち700~800種がアフリカ大陸に、300~500種が中米、南米に分布します。
大地溝帯に水を湛えるマラウィ湖、タンガニイカ湖、ヴィクトリア湖などには、海水魚のように色鮮やかなシクリッドたちが生息しています。湖で長い間、他の魚と混ざることなく隔離されて分化したため、色彩、習性、繁殖形態などが独特の方法、性質が見られ、たいへん興味深いのです。
マラウィ湖で100~200万年、タンガニイカ湖で約200万年、ヴィクトリア湖は50万年前にシクリッドが入ったとされています。生物の進化学からすればまだまだ若い湖でありますが、私たちを楽しませてくれる新しい仲間たちが次々と紹介されるように、爆発的な分化、繁栄が見られたのです。
■飼育環境
マラウィ湖を見てみましょう。長さ約590km、最大幅86km、深度は最深部700m、湖全体の面積はおよそ3万平方km。日本からみたら海のような規模であります。小さい水槽も人気ですが、できる限り大きな水槽を用意してあげたいです。深さも必要ですね。魚がある程度の大きさになったら、90cm水槽や120cm水槽が基本となります。たたき池でアーリーの飼育繁殖をしている方にお話を伺ったときには、贅沢だけど、横からも見たいと言っておられました。水量は多いにこしたことはありません。
透明度40m!フィルター選びが重要です。ワンランク上のものを用意するキーパーも多いです。上部式と外部式の併用も、シクリッド飼育では一般的です。水かえも重要で、透明度を維持するには飼育水が透明のうちに早め早めの水かえを実施することです。
水温23.5~27.5℃(年間平均水温25℃)。冬場はヒーターで保温、夏場は冷却ファンやクーラーを使用します。
pH7.7~8.6。KH6~9。GH4~6。pHをアルカリにキープするため、サンゴ砂やサンゴ岩、pHが下がりにくくなる機能をもつろ過材の使用が一般的です。中性の水から水槽セッティングをする場合、サンゴ砂を使うと、使うサンゴ砂の量にもよりますが、pH7.5~8.3、GH8~10、KH4~6の水が得られます。pH上昇剤などをうまく用いて、生活環境を整えてあげたいところです。
注目は8、9というKHと比較して異常にpH値が高いということです。海水を見ると、GH11、KH14、pH8.4であり、海水よりKHが低いのにpHは海水並みであることがわかります。マラウィ湖には、酸化傾向を示す有機性の汚れがきわめて少ないことを示しています。付近の地盤が石灰岩で構成されていて、溶け込む石灰の影響でKHは高めですが、GHは日本の河川とあまり差がありません。水温調整をした水道水にpH/KH上昇剤を入れ、水かえ用とする方法もおすすめであります。
水は見た目キレイでも水かえをします。魚たちが生活し、エサを与える、魚たちは排泄をする。排泄物は硝酸塩へ分解されていく。ここにサンゴ砂やサンゴ岩があれば、これらの成分である炭酸カルシウムと硝酸が反応して硝酸イオンとカルシウムイオンになります。これは、水かえの日まで蓄積されることになります。マラウィ湖の水には、硝酸イオンはほとんど存在しないため、水かえはきわめて重要な管理といえます。
エサの非常に少ない湖で、食性も特化しています。なんでも美味しそうに食べてくれますが、与えすぎにも注意が必要です。シクリッドたちは人によく慣れ、水槽の前に飼育者が立ったり、エサの容器を見せたり、エサを収納しているキャビネットや冷凍庫の扉が開くだけで、ザワザワと集まってきます。ついついエサをやってしまい、与えすぎという状態になりやすいのです。かわいがりすぎには注意しましょう。
タンガニイカ湖も見てみましょう。長径700km、最大幅80km、世界第二位の水深1480m。透明度20m以上、水温は表層で24~29℃、pH8.6~8.8.KH16~18、GH7~11。湖岸に広がる石灰岩が湖に直接露出しているため、数値は高めです。
■ムブナの仲間
ムブナとは現地の言葉で「岩場に棲む魚」という意味です。日本へは東南アジアで養殖されたゴールデンゼブラやイエローストライプなどが輸入されてきています。現地では、石灰岩に生える苔や苔につく無脊椎動物などをいっしょに食べているようです。彼らの口は歯の形が特化していて、水槽の手入れのときなどはつつかれることもあり、その口は苔を食べやすい構造であることが実感できます。性質は非常に荒く、温和なタンクメイトとの混泳は不可であります。幼魚のうちは目立ちませんが成長に従って同種同士でも争うことが多いです。水槽に多くの岩やシェルターをレイアウトしたり、わざと数多くの個体を収容したり、オス1匹に対しメス4~5匹という組み合わせにしたりするのはこのためです。マウスブリーダーであり、オスはメスのまわりで体を小刻みに震わせたり、ヒレを広げてアピールします。オレ、こんなにカッコイイんだぜ!とディスプレイ、デモンストレーションするオスは最高に美しいです。メスは、岩の上や掘った底砂の上などに一時的に産卵し、口にくわえます。卵は20~30個ほど。稚魚は2~3週間で口から出てきます。その間、親は食べずに育児をするわけです、ぜひ観察してほしい光景です。
■マラウィ湖の仲間
衝撃のメタリックブルー、かっこいいフォルム、興味深い繁殖が魅力の仲間であります。
エサはしっかり与えるわけですが、与えすぎのエサの量をしっかりと見きわめたいです。冷凍赤虫、ペレット、フレーク、エビなどなんでもよく食べますが、植物質のものを混ぜて与えたいところです。
産卵は雌雄が円を描くようにくるくると回転しながら行われます。産卵、放精、受精と進み、受精卵はメスが直ちにくわえます。一回の産卵数は20~60個ほど。稚魚が自由遊泳を始めるまでの3週間は絶食して卵、稚魚の世話をします。稚魚にはふ化したてのブラインシュリンプを与えましょう。
■タンガニイカ湖の仲間
マラウィ湖産シクリッドと同様にアルカリ性の水作りをしていくわけでありますが、pH、KH、GHなどの水質データはマラウィ湖よりも高めであります。そこで上質の人工海水を入れた水作りを紹介します。標準的な人工海水よりも、成長に必要な微量元素を適度に含んだムセキツイ用の人工海水を使用します。タンガニイカ湖産シクリッドは、マラウィ湖産シクリッド以上にミネラルや塩類に強いので、うまくキープすることができるでしょう。人工海水は、規定量の1/10から1/15の量を溶解させます。いつも同じ濃度にしてあげたいので、最初に入れた分量をメモし、1/3の水を捨てたならば、新水には最初の1/3の量の人工海水を入れてあげるわけです。
もちろん、サンゴ砂、サンゴ岩、珪砂、カキ殻、pH/KH上昇剤などを上手に使っていただくのも良いです。精製前の原塩は生体のミネラルバランスを整えるので有効であります。
大型になる品種に与えるエサに関しては、マラウィ湖産同様、繊維や植物質を含むものを補助とするだけでなく、大きな体を支えるのに必要な粗タンパク質、各種ビタミン、カルシウムなどを含んだ良質のエサも用意してあげたいところです。
■ヴィクトリア湖の仲間
基本的な飼育方法はマラウィ湖、タンガニイカ湖のものと同様でよいでしょう。
色彩豊かなハプロクロミスは、ヴィクトリア湖産のマウスブリーダーにだけ、使われる名前であります。ヴィクトリア湖では、ナイルパーチの移植により固有種が減少しているといわれていて、その存在はたいへん貴重です。コンディションの良い個体に出会ったらすぐ購入できるように受け入れ態勢を整え、ショップを回る熱いファンも多いんですよ。
(鉄則1)水かえをしよう。
見た目の水は透明でも、レイクシクリッドたちは新しい水が大好きです。水かえの量、回数、タイミングは良好なスタンスを探ってほしいです。
生きた魚の畏敬に満ちた美しさは常に愛すべきで、管理者がその個々の具体的なものを奥深くきわめればきわめるほど、その美はますます深まってゆくものです。
(鉄則2)リザーブタンクを用意しておこう。
テリトリー(縄張り)争いが起こり、強弱が決してしまった場合や、弱い立場になった個体は隔離して回復させてあげたいのです。一緒に生活している場合、立場が逆転することは稀で、実力や体格の差は開く一方であります。予備水槽の設備は一式そろえておきたいところです。
(鉄則3)水質マスターになろう。
アルカリ性の水槽で、常に注意しなければならないのが、アンモニア、アンモニウムイオン、亜硝酸であります。これに加えて、pH、KH、GHは最低限必要です。油断禁物、手遅れになってからの測定では、処置が遅れます。